いつか月を歩こう

自分大好きなオタクが自分語りする

私と父と星と夜

私は星や月や宇宙が好きだ。天体観測とは言えないけど夜空を見上げて本やスマホでの知識と照らし合わせながら星を見たりするのが楽しくて仕方ない。プラネタリウムに行き寝そうになりながらも見る星空も好き。だからなのか自分の持ってる小物を見ると星や月や宇宙モチーフのものが多く、周りからも「お前こういうの好きやろ」と星モチーフのアクセサリーをいただいたりする。純粋にキラキラしていて綺麗で可愛くてかっこいいのだ。宇宙には全てが詰まっていると勝手に思っていて、私の憧れそのものなのだ(なので私は推しや好きな人を尊敬を込めて皆宇宙だと考えてる側から見ればちょっとヤバイやつである)。あんなに人類の技術が進歩していて、少しずつ宇宙のひみつが暴かれている現代。しかしまだ遠くて未知に満ち溢れている。手が届きそうで届かない。だから人間は、私は宇宙に恋い焦がれ益々魅了されていくのだろう。

本題に入ろうと思う。序盤でなぜ私が宇宙が好きなのかが少しは伝わったとは思うのだが、そもそも何がきっかけで私は星に月に宇宙に興味を持ったのかと思い返していたのだか、その時にふと父とのある思い出が蘇った。父との思い出は普段散々ツイッターでも言い散らかしているのだが、やっぱり良い思い出というものは長々と話したくなるのだ。許してほしい。

私の父は面白くて賢い人である。自分で言うのもなんだか気恥ずかしいが、私は父のことが大好きである。別にファザコンではない。父は良い意味で子供っぽいのに頭が良いのだ。別に有名な大学を出たわけでも、有名な企業に勤めてるわけでもない。でも知恵が周り、そしてやることが全部くだらなくてついつい笑ってしまうようなことばっかりなのだ。この間も急に
「俺ブラジリアンワックスしてみたいんだよね」
と言い出しドンキホーテに家族を全員連れていき、鼻毛用ブラジリアンワックスを買い、家に帰り家族全員で強制的に鼻毛を抜いた。こんなに楽しい鼻毛抜きは初めてであった。そんな父に色々教えてもらい、色んなことに興味を持つきっかけをもらった。その中の1つが『天体観測』であった。

小6の冬休み、学校から何か自由研究をしてこいと宿題を出された。今までの自由研究でやってきたことと言えば毎年のように作っていたペットボトルと紙粘土でできたペン立て(そもそも自由研究じゃない)、バケツとまでもいかないがでかいボウルで作ったプリンの作り方(もはやクックパッド)など自分がどれだけ適当な人間なのだろうかと思い知らされるものばかりであった。小学生最後の冬休み、とうとう担任の先生に「頼むから工作以外を持ってきてくれ」と言われたので父に何か無いかと聞いてみた。そもそもペン立てやプリンは父の差し金であった。なので今回も良い案を出してくれるだろうと期待をしてみたのだ。父は少し考えた後、
「お父さんと星を見に行くか?」
と言われた。
「そう、お前理科で星のこと習っただろ」
「習ったけど」
「じゃあ星にしよう。お父さん実はな、星とか宇宙が好きなんだ。カッコよくね?お父さんめちゃくちゃ宇宙行きたいもん。そんで学校で習った内容を宿題でやったら先生も喜ぶんじゃない?よし、星にしよう!」
意気揚々と提案してくる父を見て、こんなにウキウキしてるんだったら面白いに違いないと思いすぐに「じゃあそれにする」と返事した。余談だが後に父にこんなことあったけどそういえばなんでお父さんは宇宙とか好きだったの?と聞くと、
「ほら俺ガンダムシリーズ好きじゃん。ガンダム大抵宇宙にいるし。」
と返ってきた。うちには昔からガンプラが棚に飾ってあったなとぼんやり思い出した。

その日の夜、早速星を観察することになった。今回の自由研究は冬の星座を観察しその写真を撮り模造紙に貼るというものだった。そのために父は意気揚々と私を連れ近所の土手に連れて行った。当時住んでいた場所は山の中の田舎で、街灯など全く無いような天体観測にもってこいの場所であった。普段夜は出歩くことのない小学生の私は近所の土手に行くだけでかなり興奮していたのを今でも覚えている。天体観測をする前に事前に冬の星座を調べ、図書館で星座の本を借りてきた。星を撮影するカメラは父が用意したと言っていたのでワクワクしながら星のよく見える場所に行く。
「開けてるし星もよく見えるからここにしよう!」
父は三脚を立て、デジタルカメラをセッティングした。私も借りてきた本を懐中電灯で照らしながら冬の星座のページを開いた。
「冬はな、空気が澄んでるから夏よりも星が見えやすいんだぞ。」
「それ先生も言ってた。」
「お!じゃあお父さん大正解じゃん!すごくね?」
「すごい!なんで知ってるの?」
「お父さん天才だからな!」
実はこっそりお父さんも天体観測の本や私の理科の教科書を読んでいたことを知っていたが何となく知らないふりをした。自分のためにカメラを用意したり本を読んだりしてくれたことが嬉しかったのでなんとなく黙っていた。
あれが北斗七星であれがカシオペア。あれオリオン座だよ。ほら、本と同じ形をしてるだろ。あ、あれ冬の大三角じゃないか。授業でやっただろ。
父が指差すを方を見上げ、本と照らし合わせ、きちんと星座があることを認識し、写真を撮る。興味のなかった夜の空がどんどん綺麗に見え、父と二人で大はしゃぎで空を指差す。今思い返してもめちゃくちゃに楽しかった。

今私は一人で暮らしているが、夜道を歩いている時やベランダに出た時にふと空を見上げ、「あ、オリオン座」と呟く。なんてことない夜の空は、あの日以来ずっとキラキラ輝いている。だからなのだろう。私は星や月や宇宙が好きである。父も好きな、まだまだ謎だらけを沢山発見できるステキ空間を愛している。